幼児教室子供の天国・視床下部と愛情の関係


一昔前まで、心、感情は、脳の働きとは別と考えられていましたが、脳の働きであると説明がつくようになって来ました。
前項にも記述したように道徳心というもっとも、愛情らしき感情も、前頭葉の働きよって表現されます。
感情を司る本能衝動も扁桃核という脳の働きです。
そう言う意味では、人間の表現は心、考えの区別なく全てが脳の働きであると言えます。
しかしそれでも、脳の働きとはいいきれない、強烈な感情が人間にはあります。
愛です。
愛とは感情なのでしょうか?それとも脳が作り出した考えなのでしょうか?

トム・インセル博士は、愛している時の脳では何が起きているのかを研究しています。
人間では出来ないので、ネズミでその実験をしました。
愛が芽生えた瞬間、脳では何が起きているのでしょうか?
ここでネズミにとって愛していると言う状態はどうなのかという問題が立ちはだかります。
しかしここでは、オスとメスが長期に渡ってつがい行動を取り続けた時、それを愛し合っているということにしました。
人間は数回のデートをしただけでは恋人と言いきれませんが、結婚を期に一般的に生涯ともに過ごします。
ネズミもオスとメスにはある時期を境に絆が生まれます。
実験で起用されたプレーリーはたねずみは、交尾をすると、そのカップルは生涯一緒に離れません。
人間でいえば運命の人と相思相愛、即日結婚、生涯を共に過ごすという非常に恵まれた夫婦です。
実験ですから、目立ってその傾向がある方が検証しやすいです。
その意味で生まれながらのおしどり夫婦であるプレーリーはたねずみの起用は最適です。
交尾をするとプレーリーはたねずみの脳にはどんな変化が現れるのでしょう?
メスは初対面のオス、つまり交尾をしていないオスには、なんの興味も示しません。
その謎の鍵はホルモンにありました。
交尾後のメスの脳には二つのホルモンが検出されました。
オキトシトシンとバソプレシンです。
このホルモンは脳の視床下部で創られます。
このホルモンの分泌のさじ加減で性欲をコントロールしているのです。
簡単に言うと、一度交尾すると強烈にその相手と交尾したくなり、その想いがどんどん積もっていくのです。
愛と言ってここで検証したのは性欲です。
厳密には愛ではありません。
人間の場合はどうなのでしょうか?
実は全く同様です。
人間にも同じくオキトシトシンとバソプレシンが分泌されます。
それも性交の時に分泌され、強烈な性執着を生み出します。
その相手の性交をすれば、そのホルモンが分泌され強烈な快楽が得られます。
その体験をもう一度したいと思うようになります。
その相手との性交がそのホルモンを分泌するサインだと脳に刷り込まれているのです。
だからその相手を見たり、思い出すだけで強烈な性欲が沸き上がるのです。
となると性欲は、感情という衝動なのか?脳の判断なのかと言う前に、化学反応と言う事に成ります。
ホルモン物質が行動を握っているなんてこっけいですね!
性欲を司るのは、感情でも脳でもなくホルモンなのです。
そしてここからが面白いところです。
では愛の入る隙間はどこなのかということです。
性交の相手が人間として自分に悪影響を及ぼすと解っていても、どうしても惹かれてしまうという事はほ誰にでもあると言えます。
頭で解っていても、体が言う事を聞かないという状態です。
正しくは、言う事を聞かないのは体ではなく、ホルモンの命令に逆らえない脳が言う事を聞かないのです。
相手の魅力に負けているのでは無く、自分の脳から分泌されたホルモンに負けているのです。
言葉通りこれは自分との戦いとも言えます。
こんな書き方をするとこっけいでふざけているように思えますが、ここに人間の真の愛の姿が含まれています。
この避け用のないホルモンの指令を無視し、理性で自分を律しようとする心こそ、人間たる知性の結晶です。
自分を愛する、パートナーや家族のためにそれを抑えようとする理性は、脳の前頭葉の働きです。
そしてそうしようと言う動機はどこからくるのでしょう?
それこそが、科学でも心理学でも脳科学でも紐解けない愛なのだと私は思います。
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