幼児教室子供の天国・前頭葉とドーパミン


人は自分の欲求を満たす為に、努力、苦労、苦難をいとわないことがしばしばあります。
脳は報酬を求めているからです。
人間は強い欲求が生まれると、ドーパミンという物質が分泌されます。
ドーパミンを分泌する部位は、脳の奥にある脳幹近くにあります。
黒質(コクシツ)、そして腹側被蓋野(フクソクヒガイヤ)という器官です。
報酬系と呼ばれる神経系統です。
報酬への期待度が上がると、ドーパミンの分泌を命じるのです。
欲求衝動によりこうしてドーパミンが大量に分泌されると、人は意欲的になり、活動的になります。
逆にドーパミンが少ないと、人は消極的になります。
そしてドーパミンは創造性をかき立てます。
絵を描きたい、作曲をしたいという欲求に応じドーパミンが分泌されます。
そして創造性が高まり、作品へのイマジネーションが沸き上がりわくわくし、そして作品に没頭します。
また自分の欲求実現にはどうしたらよいかというアイデアも沸き上がります。
ノーベル賞が欲しい、有名になりたい、異性にもてたい…。
それらの欲求と同時に、どうしたらそうなれるのかというアイデアが浮かび、行動に移していくのです。
危機回避の際にも、脱出したいという強い欲求に応じ、ドーパミンが分泌し解決法を模索します。
創作イマジネーション、危機回避の解決法、会議で良いアイデアがどうして閃くのか?
ドーパミンは前頭葉に保存されている長期記憶のアクセスを活性させます。
そうして創作意欲を沸き立たせ、前頭葉の神経回路が長期記憶から必要な情報を同時に引き出しているからです。
現場での自閉症児へ指導も、このことを念頭に置き行っています。
その子がたった今伝えたことを忘れてしまうくらいの記憶力だったとします。
更にそれを忘れてしまうことの切迫感も自己嫌悪感も沸き上がらない子供だったとします。
しかし携帯電話を取り上げると、取り戻すためならば、必至でこちらの条件を聞き取り、すぐに理解します。
そして必要とあらば、こちらを欺いてまで取り戻そうとします。
この時彼の脳にはドーパミンが分泌されており、どうしても携帯遊びがしたいと強い欲求が込み上げます。
返してもらうにはどうしたらいのかと考え、普段では考えられないような集中力を発揮します。
そして嘘をつくという発想まで瞬発的に発揮したのです。
電話を出来ない彼が、ただボタンを押して遊ぶために必至な姿を見ると、どうしてそんなものに拘るのだろうと一般の人は思ってしまうかもしれません。
しかしそれは一般の人が芸術や利益のために知恵を絞り努力を惜しまないことと同じです。
脳は動機や意義に対して序列などつけません。
欲求衝動に応じて、意欲、創造性をかき立たせ行動させるのです。
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