幼児教室子供の天国・前頭皮質と扁桃核と賢さの関係


マイケル、カーニーは10億人に一人の天才です。
1994年、わずか10歳で大学を卒業。
最年少で大学を卒業したギネス記録となりました。
6歳で高校卒業、10歳で学士号、14歳で修士号をとりました。
素顔の彼は、極普通の若者です。
漫画も読むし、ゲームもやります。
ユーゲラン博士は天才の脳の働きの被験者に彼を選びました。
知能指数は測定不能です。
ちなみにどうして測定不能と判断される場合があるのかというと、一般の人では悟れない、不可能と前提してテストしているものが解ってしまうからです。
テストで計る意味を失うものが出て来てしまうからです。
そのような徴候が判明すると、測定不能と判断します。
ちなみに私の幼少のころの知能指数は156でした。
しかし実際は測定不能でした。
子供であれば一つづつ数えることが前提です。
その速度を計ろうとしているのに、かけ算が出来てしまったり、先に出題された解答の差分で計算することを思いついてしまっては、意図するテストが出来ません。
そのままの結果を数値に表すととんでもない数字になります。
156と言う数値は、それを考慮した数値でした。
自分でも積み木の数を数える問題が途中で無くなった事を覚えています。
このままの知能指数を保っていれば人生バラ色だったのでしょうが、残念ながら今はいたって普通の知能です。
神童も時が過ぎればただの人…それそのままの人生を送っています。
ですから私はマイケルの知能テストがどんなものであったのか、生々しくイメージが浮かびます。
思わず笑ってしまいました。
しかしユーゲラン博士が知りたいのは、彼の知能指数ではなく、その優れた情報能力の秘密です。
普通の人とは違う脳内ネットワークの秘密が必ずあるはずです。
マイケルは数種類のテストを受けました。
知りたいのは、その結果ではなく、その時脳の何処が一番活発に働いているかです。
テストをしているマイケルの脳の状態をモニターしました。
天才的な情報処理能力が発揮される際、前頭葉が活発になっているはずです。
しかし以外にもマイケルの脳は扁桃核中心に働いていることがしばしばありました。
人物の写真から、感情を読み取るというようなテストの場合は扁桃核が使われていました。
情報の整理により合理的に答えを出しそうなものですが、彼は本能の閃きに解答の決断を委ねていたのです。
アルファベットの頭文字から連想する言葉を出来るだけ多く答えるというテストでは、前頭葉が働いていました。
理由はわかりませんが、言葉にまつわるものは前頭葉で考える傾向があり、それ以外は扁桃核で考える傾向があると言う結果が出ました。
テストの結果はどれも優秀な点数でした。
マイケルの脳の特徴をまとめると、まず前頭皮質を含む脳の容量が常人よりも多いです。
情報処理のような本来前頭葉が担当しそうな事を扁桃核がする傾向があります。
ただし言葉表現やそれにまつわるものは前頭皮質が働いています。
認識力は大人のように前頭葉を使い、感情を読み取るときは若者のように扁桃核を使っていたのです。
これだけのデータでは何とも言えません。
脳の働きはやはり謎のままです。
しかし傾向はわかりました。
さらにはっきりしたことがあります。
天才とは、前頭葉のみが優れた人を指すものでは無いと言う事です。
天才は同時に、本能衝動を司る扁桃核も優れていて、多くの場面でそれに判断を委ねていると言う事です。

10代の若者と一般成人では、脳を優位に働かせる場所が異なります。
ユーゲラン、トッド博士は、成人と10代の若者の脳の働きの比較研究を行っています。
情報処理を行う際、使う脳領域に違いがあるというのです。
情報処理を行う際に、成人は主に前頭皮質が使われています。
しかし10代の若者は、扁桃核が使われています。
扁桃核は感情を司るところで、本能的な感情衝動により指令を出します。
一方前頭皮質は、理性的に情報を処理し、合理的判断をするところです。
扁桃核がむき出しの本能衝動を沸き上がらせたとしても、社会生活の枠をはみ出ないように、前頭皮質が理性でそれをコントロールし冷静に判断を下します。
また人類の進化はこの前頭皮質の進化の歴史でもあります。
現代人に近づくに連れてその領域は増えて行き、現代人のような容量になりました。
文明を築く為には、理性で本能をコントロールしなければ実現していきません。
感情と理性は対照的ですが、感情でも他人を思いやったり、他人の悲しみに胸を痛めて悲しく思うなどは、扁桃核の働きではなく、大脳皮質の働きです。
こうした道徳心は大脳皮質の働きによるものです。
そのため、一般に若者は扁桃核が優位に働くため、衝動的です。
一方一般に大人は前頭葉が優位に働くため、理性的です。
次へ進む→前頭葉とドーパミン