幼児教室子供の天国・聴覚と脳の発育の関係


人間は聴覚を通し、周囲からの刺激を受け脳を発達させます。
もし聴覚が奪われるとどうなるのでしょう?
聴覚の役割は、外界の様子を音として脳に認識させることです。
聞こえなければ、他人とのコミュミケーションが取れません。
また、外界の危険を察知する為にも、聴覚は不可欠です。
聴覚の役割は実はそれだけではありません。
耳から入る音は電気信号として脳に伝わるわけですが、その脳に与える刺激自体が実は非常に重要なのです。
電気信号は、ニューロン間のネットワークを通じ、側頭葉の聴覚皮質を刺激して音、または言語であると認識します。
その刺激が、脳機能を鍛えるのです。
また、言葉ももちろん聞けないわけですから話せなくなります。
覚えないという単純なハンディでありません。
言葉を認識することを脳が経験していないので、それを結びつけて考えること自体に支障が出るのです。
もし失われてしまうと、音にによる刺激もそうですが、言葉として意思を受け取った経験が無いため、脳の発達が不十分になります。
音からの情報処理能力を覚えずに脳が発達してしまうことは、言葉が話せない以上に深刻な問題です。
音が解らなければ、言葉自体の印象が希薄なまま成長してしまいます。

リズ・オートナーは、生後2ヶ月の時に聴覚障害が発覚しました。
父親が読んでも振り返らないことがしばしばあり、聞こえないことが解りました。
このままでは言語を習得出来ないし、言葉のニュアンスの理解が不十分となります。
聴覚障害の原因は胎児期の感染症であることが解りました。
そして生後14ヶ月の時にリズは人工内耳の埋め込み手術を受けました。
手術を担当したのは、ジョン・ニパルコ医師。
成功すれば、聴覚器官を正常に機能させます。
前頭皮質が信号を感知するようになります。
耳が聞こえるようになるのです。
耳の後ろを切開し、人口内耳を埋め込みます。
手術は2時間ほどで完了しました。
術語4週間が経ち、聴覚テストを行いました。
信号音を聞かせると見事に反応しました。
信号音が電気信号として脳に送られたのです。
自分の名前を覚えるのに1年はかかります。
もっとも音の刺激を必要とする14ヶ月間音が聞こえなかったのでその分言語発育は遅れます。
しかし、リズは聴覚を得る事が出来たのです。
時間はかかりますが、やがては言葉によるコミュニケーションが取れるようになるでしょう。
次へ進む→前頭皮質と扁桃核と賢さの関係