幼児教室子供の天国・ニューロンの働き


思考や運動の伝達指令はニューロンの結合数がものを言います。
退治期にはたった数個でしかなかった細胞からニューロンは分裂を始めます。
驚くべきはその速度です。
ニューロンはたった1分の間で25万個にも増えます。
成人の脳には1000億のニューロンが備わっています。
という事は、胎児期のわずか5ヶ月間でその数に達するのです
数もさることながら、もっと驚かされるのは結合力の数です。
一つのニューロンが1万も枝分かれし、他のニューロンと結合しているのです。
1000億あるニューロンが、お互いに網の目状にお互いに関わって機能しているのです。
その複雑な電気経路が脳の中に張り巡らされています。
思考したり、指示が電気信号として脳内を駆け巡り、各部に伝えています。
およそ3才までに1000億のニューロン間に数千兆もの結合ネットワークが出来上がります。
そしてニューロン間を繋いでいる接合部分をシナプスと呼びます。
ニューロンを接合するシナプスはおよそ5000億あるとされています。
そしてそのシナプス回路それぞれが10通りほどの活動パターンがあるとされています。
脳は認識した情報をシナプス接合部でパターン化して記憶していきます。
1000億のニューロン、5000億の接合部シナプス。
さらにそれらがそれぞれ数十パターンととなると、その組み合わせは天文学的な数の組合わせとなります。
その組み合わせ数を数えるにはコンピュータを使っても3200万年かかると言われています。
また全宇宙に存在する全ての分子の数よりも多いと言われています。
脳はそれ故に理論上、無限に記憶が出来ると言われています。
この無限と呼べる脳の結合力が、記憶に刻んだデータベースを瞬時に呼び出します。
そしてお互いに拘わり、他の記憶と関連つけて考えることを可能にしています。
1を聞いて10を知るような人や、同じ失敗を繰り返さない人は、結合力がより充実していると言えるでしょう。
判断に必要な過去の経験を瞬時に呼び出す機能が優れているからです。
知能指数は遺伝する傾向がありますが、この結合力の充実数も遺伝に強く顕われます。
子供の教育は3才までと言われていますが、その理由は3歳までに脳の成長はほぼ完成するからです。
しかし最近では、その後の環境次第でニューロンネットワークの結合力が育つと言われています。
遺伝子による影響ほどではありませんが、幼児、少年期の環境にも大きく影響することが解ってきました。
幼児期少年期に自分の意見を持つように心がけて本を読む習慣があるなど。
そうした自立的な考えを多く経験した子供は、そうでない子供に比べニューロンネットワーク、シナプスの回路が充実します。
両親や身近な大人が、そのような仕組みを知り、なるべく考えて、判断をさせるように育てた子供は、読み書きに優れます。
反省を促し、今後の失敗を引き起こさないようにと正しく指導された子供は、そうなることはもちろんですが、計算力に優れます。
問題を目にした時に、脳に定着した方程式と言うルールに、ニューロンが一直線に関連づけをさせるからです。
数学的思考は、こうした道徳心の形成に役立っています。
Brian Butterwaorth博士の仮説によれば、ニューロンのグループには数学的能力に特化する専門のグループがあるとされています。
これは犬、猫、鳥、ライオンなどにも存在すると言われています。
狩りの過程で獲物の頭数を瞬時に認識するため、数量把握は当然必要です。
狩りの経験が数量感覚を養い、ニューロンネットワークを強化しているのです。
人間は狩りをしませんが、日常で数量把握は絶え間なくしています。
前記にもあるように人間の場合は、数量把握そのものに限らず、社会ルールという方程式に準じる過程で数学的感性を求められます。
数学は、お金の計算をするためもそうですが、実は数学的思考を培うことに非常に重要なのです。
数学が出来るように子供を育てたいのであればどうしたらいいのか?
正しい躾をし、なるべき自分で考えさせ、経験を積ませて脳に刻むようにしてあげることです。
さらに現場で感じる事ですが、躾をされていない子供は忍耐力がありません。
問題が解けないのではなく、すぐに諦めてしまっているのです。
そして教える両親や先生にも忍耐力が無いのであれば、解かせないで答えを教えてしまうのでさらに悪循環となります。
ですから正しい躾は脳の発育のために非常に重要です。
日本人は世界で類を見ないほど、子供に過保護です。
何かを子供が考えて答えを出す前に親が答えてばかりいる事は、脳の発育に良いはずがありません。
また、悪いことをした時に悪いと叱らずにいる事も脳の発育に良いはずがありません。
ものの善し悪しによる結果を経験しないため、ニューロンネットワークはそのデータを得られないからです。
しかし正しく経験を積み、躾を施されて行けばどんどん結合力を強固にしていいます。
そこから、感情、想像力、愛情を理解するようになります。
日本の学力低下、指示待ち人間が目立つ要因はゆとり教育の影響と思われがちです。
しかし授業数を減らしてゆとりをもったことが原因では無いかもしれません。
単純に躾を怠ったことが原因なのかもしれません。
子供のゆとり世代では無く、親の過保護世代が、子供に考える力を引き出せなかったことの結果なのではと私は考えます。
脳細胞は、2、3年前にあったものとは違います。
皮膚が剥がれ落ちて新しい皮膚にどんどん入れ替わるように、脳細胞も次々に新しい細胞と入れ替わっています。
この時どうやってニューロンとシナプスに刻まれた記憶情報を新しい細胞に引き継がれているのか?
実はまだ解明されていません。
ここではニューロンの働きに的を絞って説明しましたが、記憶の仕組みは非常に複雑で、未だに謎に満ちています。
その謎の解明は事項で説明していきます。
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